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キュービクル設置における地震対策の方法について解説。耐震設計の基本について見ていきましょう。
キュービクルの耐震対策は、事業継続と人命安全に直結する経営課題です。病院・工場・商業施設・オフィスビルなど、電気が止まれば機能しない施設にとって、キュービクル式高圧受電設備は「地震後にこそ止めてはいけない設備」といえます。
地震で本体が転倒したり内部機器が破損したりすれば、長期停電による生産停止・営業停止・信頼低下が発生し、損失はコスト削減額をはるかに上回ります。専用の法定数値基準こそ存在しませんが、耐震クラスや設計用標準震度など、施設側で押さえるべき判断軸は明確に整理されています。
買い替えや改修のタイミングは、耐震性能を「保険」ではなく「投資」として見直す機会といえるでしょう。
キュービクル専用の耐震数値を定めた法律は存在せず、実務では「建築設備耐震設計・施工指針(2014年改訂)」を基準に耐震クラスS・A・Bで整理されます。
耐震クラスSは病院・防災拠点など地震後も機能継続が強く求められる高耐震クラス、Aは事務所・学校・商業施設など一般建物向けの標準耐震クラス、Bは重要度が相対的に低い設備向けの軽耐震クラスです。クラスと設置階(上層階/中間階/地階・1階)の組み合わせによって設計用標準震度が決まります。
盤本体の耐震設計は「盤類の重要度に応じて耐震計算を行う」「用途と建物の耐震クラスとの組合せで分類する」「局部震度法を採用する」といった考え方で設定されます。まずは自社施設がどのクラス相当なのかを設計者・施工会社と共有することが出発点です。
参照元:日東工業|トップランナー変圧器2014搭載時の耐震仕様について[※PDF](https://ntec.nito.co.jp/news/pdf/0000003828.pdf)
耐震クラスに紐づく「設計用標準震度」は、設置階によって変わります。日東工業のトップランナー変圧器2014搭載時の耐震仕様では、上層階・屋上および塔屋で耐震クラスS=2.0/A=1.5/B=1.0、中間階でS=1.5/A=1.0/B=0.6、地階および1階でS=1.0/A=0.6/B=0.4と設定されています。
同じ震度6の地震でも、建物の振り子現象で上層階ほど揺れが増幅するため、屋上に設置されたキュービクルの方が厳しい条件にさらされる点は必ず押さえておくべきです。
キュービクルは電気事業法上の「電気工作物」に該当し、電気設備技術基準への適合が求められます。
地震などの外力によって感電・火災・機能障害を起こさないことが前提条件のため、数値が明記されていない場合でも、転倒や破損によって不適合とされることもあるのです。
加えて建築設備として建築基準法の考え方も適用され、鉄筋コンクリート基礎の強度・アンカーボルト・転倒モーメント計算などが確認対象です。
キュービクルの基礎は、単にコンクリートの塊を敷くだけの存在ではありません。荷重を地盤に均等に伝え、地震・強風時の転倒や沈下を防ぐ土台であり、屋外設置では地表から立ち上げて雨水の侵入も抑える役割を担います。
基礎の形式は現場打ちコンクリート基礎が主流ですが、屋上など重量制限のある場所では鋼製(乾式)基礎が使われるケースもあります。コンクリート基礎はさらにベタ基礎とゲタ基礎に分かれ、それぞれケーブル引込みや防虫対策の要件で使い分けます。
加えて、地耐力は通常30〜50kN/m²以上を確認し、屋外設置では地表から150〜200mm程度の立ち上がり高さが推奨されるといった実務基準もあります。
参照元:株式会社山電|キュービクルの基礎と架台とは? (https://cubicle-yamaden.com/column/category1/entry21.html)
アンカーボルトは、キュービクルを地震時に「動かさない」ための要となる部材です。
JIS C 4620:2023(キュービクル式高圧受電設備の規格)では、外箱に基礎ボルトの孔を設け、その大きさ・個数は設置条件に適合したものとするよう定められており、公共建築工事標準仕様書でも「配電盤は基礎ボルトで床面に固定する」と明記されています。
アンカーボルトのサイズと本数は設置階の設計用標準震度をもとに局部震度法で計算して決定します。施工では位置精度・高さ誤差にも注意が必要です。
参照元:電気設備ドットコム(https://www.reformhiyo.com/cubicle/5084/)
外箱だけを頑丈に固定しても、内部の変圧器や母線が動いてしまえば意味がありません。実務では、変圧器の滑動・転倒防止金具、母線支持材の強化、機器同士の干渉防止設計、扉ロック機構の強化などをセットで検討します。
屋上設置は敷地の有効活用や浸水リスク回避などのメリットが大きい反面、耐震・構造面で確認事項が増えます。
まず、キュービクル自体が数トン〜十数トンに達するため、屋上の許容積載荷重(建築基準法施行令に基づき用途別に定められ、一般的な事務所・住宅屋上では60〜180kg/m²程度)をクリアしているかを構造計算で確認する必要があります。1981年以降の新耐震基準以前の建物では補強が必要になるケースもあります。
屋上は鞭振り現象で揺れが増幅するため、設計用水平震度は1.0〜1.5を目安とし、自重の1〜1.5倍の水平力に耐えるアンカー本数・埋め込み深さ・せん断力/引抜力を計算しなければなりません。加えて防水層を痛めない基礎施工と、台風・強風による風圧力への対策も欠かせません。
参照元:デンザイゼウス(https://denzai-zeus.com/ogawa-news/top-12)
築20年以上の建物に設置されたキュービクルは、現行指針以前の考えに基づき設計されている可能性があります。設計用標準震度の想定が低い、耐震クラスの概念がない、基礎や固定が簡易的といったケースは、法的に即違反でなくても地震時のリスクが高い状態です。
目安としては、コンクリート基礎のひび割れ・剥離・沈下、鋼製架台の錆や塗装剥がれ、アンカーボルトの緩みや錆、基礎周辺の排水不良などが確認された場合は、本体更新と同時に基礎補修や新設まで踏み込んで検討すべきタイミングです。
古い基礎で現在の耐震基準を満たさない場合は、構造計算をやり直したうえで補強することが必要です。
耐震対策を伴うキュービクル工事は、電気工事会社の技術力だけでは完結しません。屋上設置や既設補強では構造計算が必須のため、一級建築士や建築側の施工業者と緊密に連携できる専門業者を選ぶことが重要です。
基礎工事の見積もり時には、基礎寸法・鉄筋仕様・コンクリート強度・アンカーボルト工事・配管スリーブ・残土処分・搬入据付補助・排水対策・擁壁近接対応の有無まで明示されているかを確認しましょう。
また、神奈川県内で複数社を比較する際は、電気設備と土木・建築の両面に知見があり、現地調査から施工計画・据付まで一貫対応できる会社を軸に選定することをおすすめします。
キュービクルの耐震対策は、耐震クラスと設計用標準震度を軸に、基礎・アンカーボルト・内部機器・設置階の条件を組み合わせて設計します。
古い設備は現在の耐震要求を満たしていない可能性が高く、買い替えを検討するタイミングこそ耐震性能を見直す好機です。神奈川で工事会社を選ぶ際は、建築と電気の両方に強いパートナーを軸に比較検討しましょう。
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。
※2021年3月調査時点