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キュービクルは、ビルや工場が電力会社から受け取る高い電圧を建物内で使える低い電圧に変えるものです。その性質から法律によっての設置基準があり、「安全に長く使えること」「周囲の人や建物に迷惑をかけないこと」を守るために必要な事柄があります。ここでは、そのポイントをまとめました。
まず覚えておきたいのは容量の上限です。日本では6.6kVを4,000kVAまでがキュービクル方式の標準範囲とされ、それを超える大規模施設は別の方式を検討しなくてはなりません。
変圧器やコンデンサも大き過ぎないほうが安全という考え方で、一台当たりの容量に目安が決められています。大きな機械を詰め込み過ぎると温度や電流が上がり、事故のリスクが高まるからです。
置く場所は屋外が多いものの、雨が吹き込む位置や直射日光が当たる場所は避けます。屋内に置く場合は専用のスペースを設け、熱や湿気を逃す換気ダクトも合わせて設置します。周囲には作業用のスペースも用意し、キュービクルの前で人がしゃがんでも工具を扱える程度は必要です。概ね、前1.2メートル、横0.6メートルは確保しましょう。通路や避難経路を塞がないことも大切です。
地震国の日本では基礎と固定も重要です。厚めのコンクリートの土台を作り、太いアンカーボルトでしっかり締め付け、横揺れでも倒れないようにします。ケーブルを通すラックにはすき間を設け、揺れたときに力を逃がす工夫も大切です。
電気的な安全策として、キュービクルを地面につなぐ「接地」は必須です。漏れた電気が人体や機械へ流れず、大地に逃げるアースとなります。また落雷対策で避雷器を付け、雷のエネルギーをすばやく逃がす仕組みも必要です。内部の温度は周囲より15℃以上上がらないようファンで換気し、暑さによる故障を防ぎます。
火災対策としては周囲3m以内には可燃物を置かず、粉末ABC消火器を近くに備えます。消防署や自治体ごとに細かなルールがあるため、事前に確認しておくことがオススメです。
書類の手続きは「電力会社との打ち合わせ」から始まります。設備の図面と計算書を出して容量が適正かを確認し、工事の2週間前までに国(産業保安監督部)へ届出を行います。
工事が終わると絶縁抵抗や遮断器の動作試験など“健康診断”を行い、合格して初めて電気を流せます。使い始めてからは月に一度の目視点検、年に一度の停電点検を行い、記録を3年以上保管します。これらは車検のようなもので、早期に不具合を見つけるための仕組みです。
キュービクル設置のコツは「容量の上限を守る」「適切な場所に置く」「がっちり固定する」「電気+火災の安全策を取る」「書類と点検を欠かさない」の五つです。専門家を交えながら早めに計画を立てることで、設置も運用もスムーズに進みます。キュービクルは施設の要になるため、最初の段取りを丁寧に行うことが、長期的な安心とコスト削減につながります。
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。 
※2021年3月調査時点