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キュービクルを設置する際には、ただ地面や床にそのまま置くだけではなく、必ず「架台」と呼ばれる専用の土台を使って設置します。この架台は、キュービクルを安定させ、安全に運用するために重要な構造物です。
架台のサイズは、設置するキュービクルの大きさに対して、縦・横それぞれ約20cmほど大きめに設計するのが一般的です。つまり、キュービクルを載せた際に、土台が周囲に10cmほどはみ出す形になります。これによって機器が安定して固定されるだけでなく、過剰にはみ出さないことで、点検や修理などの作業時にも支障が出にくくなります。
また、架台の高さについても重要なポイントがあります。キュービクルをしっかりと固定するための「アンカー」と呼ばれる金具を取り付ける必要があり、その長さよりも高い架台が求められます。通常はアンカーの長さの2倍程度を確保することで、しっかりと固定でき、安全性も確保されます。
さらに、架台自体の大きさによって重量が変わるため、設置場所の床がどれくらいの重さに耐えられるかという「耐荷重」の確認と調整も必要です。これは建物の構造計算に基づいて行われ、場合によっては床の補強が必要になることもあります。
架台の素材として一般的に使われているのはコンクリートによる基礎です。
このコンクリート基礎は、現場で実際にコンクリートを流し込んで形成する「現場打ち」と呼ばれる方式が主流です。この方法では、設置する場所の形状やサイズに合わせて自由に基礎を設計することができ、建物の構造と一体化させやすいため、高い強度を確保できるという利点があります。さらに、施工費用も比較的安く済むことから、多くの新設現場で採用されているのです。
ただし、既存の建物に後からキュービクルを設置する場合には、建物との接合方法に注意が必要です。例えば、建物の構造によってはコンクリート基礎をそのまま接続できないことがあり、このような場合には別の方法を選択する必要があります。
コンクリート以外の素材として、「乾式基礎」と呼ばれるタイプの架台が挙げられます。これは、あらかじめ工場で製造された基礎部材を現場に運び込み、組み立てて設置する方式で、「湿式」と対比されることからこう呼ばれています。
乾式基礎の多くは鋼材で作られており、「鋼製基礎」とも呼ばれます。鋼製基礎は施工が早く、既存の建物にも柔軟に対応できるのが特徴。リニューアル工事や限られたスペースへの設置に向いています。
キュービクル内部にある変圧器は、見た目以上に強い振動や騒音を発生させます。これは、大きな電流が流れることで内部に磁気的なひずみが生じ、それが電源周波数に合わせて振動を引き起こすためです。この振動がそのまま建物に伝わると、たとえば別の部屋で「うなり音」が聞こえるなど、居住性や業務環境に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、キュービクルを建物構造から切り離すための架台が必要になるのです。
キュービクルを建物の床に直接固定するには、アンカーボルトを打ち込む必要があります。しかし、床面に直接ボルトを施工すると、建物の構造体そのものに損傷を与えるおそれがあります。特に防水層が施されている屋上などでは、防水機能の低下にもつながりかねません。建物本体とは別の独立した架台を設けることで、建物構造や防水層への影響を最小限に抑えるのです。
キュービクルは非常に重量があり、一般的な建物の床構造だけでは十分な固定強度を確保できません。たとえば、固定に使うボルトをしっかりと埋め込もうとしても、床のスラブ厚が足りず深く埋められないことがあります。こうした問題を解消するためにも、あらかじめ強度を持った架台を設けることで、重量のあるキュービクルでもしっかりと固定できるようにするのです。
屋外や屋上に設置されるキュービクルでは、雨水やホコリの侵入も大きな問題です。特に電気設備にとって水の侵入は致命的なトラブルにつながります。架台を高く設けることで、地面からの水がキュービクルの底部に直接触れないようにし、水や汚れの侵入を防ぐ役割を果たしています。
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。
※2021年3月調査時点