公開日: |更新日:
こちらの記事では、屋内用キュービクルの特徴や設置基準に加えて、設置を行う際の注意点を解説します。
「屋内用キュービクル」は、屋外の天候や環境の影響を受けにくい面があります。この点から、簡易的な外装となることが多く軽量なモデルが主流となるため、機器本体は比較的価格が低めとなっています。ただし、高電圧機器を安全に管理していくために専用の電気室を設けることが求められる点に加え、確実に施錠を行う、監視体制を整えるといったことも必要です。また、機器からの発熱を逃すための換気設備も設置します。
以上から屋内用キュービクルそのものは安価ではあるものの、建築費や設備費が大きくなる傾向があるといえます。
屋内用キュービクルを設置する場合には、法令基準をよく理解した上で対応することが大切です。特に消防法においては、「キュービクルの周りに一定の離隔距離(安全が確保できる複数の対象の間に置かれるべき一定の距離)を設ける」という点が求められています。これは、火災発生時の安全確保や作業時の動線確保が目的です。
以上のように、屋内用キュービクルを設置する際には、離隔距離が定められています。操作面・点検面・換気口のある面それぞれに対して基準が下記の通り設けられていますので、確認をしておきましょう。
点検面においては、扉を開けた状態での作業が前提となります。そのため、扉の開け閉めを行うことで通路が塞がれないように「扉幅+保安上有効な距離」という算定方式が用いられています。ちなみに、扉幅が1m未満の場合には1mを確保すること、「保安上有効な距離」とは、人員の移動・作業を行う上で支障がない最小限のスペースを指していますが、作業員が安全・効率的に作業を行う環境を確保するために大切な考え方であるといえます。
屋内にキュービクルを設置する場合、まずスペースの確保が必要です。この時のポイントは、キュービクル本体はもちろんですが、ケーブルルートや遮断機などの付帯設備を設置するために必要となる面積を算出しておくことです。レイアウトを組む段階で余裕を持っておくと良いでしょう。
また、専用電気室の新設を行い、施錠・防火区画・換気設備を整えます。新築であれば設計を行う際に計画を盛り込めるものの、既存の建物の中に設置するのであれば既設設備の移設・間仕切り変更などが発生し、工期が長くなるとともにコストも大きくなりやすいことから、慎重に検討する必要があります。
機器を設置場所まで運び込む際のルートは事前に確認しておきます。その際には、狭い通路や既設の設備をどのように回避するかを十分に検討することが必要です。もし搬入ルートの確保が難しい場合には、分解したキュービクルを現地で組み立てる方法があります。ただし、この方法を使用する際には「メーカー技術者の立ち会い」「特注製作」の2点が前提となることから、費用が大きくなる傾向がある点に注意が必要です。
屋内に設置すると天候の影響を受けにくくなる反面、音が気になりやすくなる面があります。キュービクルは通電時に「ブーン」という低周波音が発生します。また、異常が発生していると「ガタガタ」「ジジジ」「キーン」といった音が聞こえるケースがありますし、突然音が大きくなる場合もあります。そのため、以前と音が変わったと感じたら点検を受けることが推奨されます。
また、音への対策としては防音パネルの設置や音の反響を防ぐために周囲の構造を工夫する、キュービクルの下に防振ゴムやアイソレーターを装着するなどの対策が考えられます。
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。
※2021年3月調査時点