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近年は地球温暖化の影響により、局地的な集中豪雨や大型台風が全国各地で頻発しています。特に短時間で大量の雨が降ると、河川氾濫や内水氾濫など、想定以上の被害が起こりやすくなります。こうした水害被害では、地下や低層階、屋外に設置されたキュービクル(高圧受電設備)や配電盤などの電気設備が浸水に巻き込まれるケースも少なくありません。
電気設備が浸水すると、具体的にどのような問題が生じるのでしょうか。大きく挙げると、以下のようなポイントが考えられます。
キュービクルや配電盤が水に浸って内部機器の絶縁が損なわれると、設備全体が故障し、建物や施設内が広範囲にわたる停電に見舞われる可能性があります。
浸水後に誤った復旧手順を取ると、漏電や感電事故が発生する恐れがあります。いったん水が入った機器は、正確な洗浄・乾燥・点検をしないと安全に使用できません。
浸水被害が発生した際は、排水作業や清掃、交換用機器の手配が必要です。この一連の工程に数日から1週間以上かかることもあり、設備業者も災害規模によっては対応が遅れる可能性があります。結果として、復旧まで想像以上の時間がかかるかもしれません。
浸水による停電で工場や施設が止まると、売上面だけでなく、顧客や取引先からの信頼面でも大きな打撃を受ける可能性があります。生産ラインがストップすれば製品供給が滞り、サービス業でも営業を続けられなくなるため、経営面への影響は深刻です。
こうした電気設備の浸水リスクは、たとえ「自社は大丈夫だ」と思っていても、想定外の集中豪雨や台風などが原因で一挙に深刻化することがあります。とりわけ低地や河川沿いの地域ではハザードマップ上の浸水予想を上回る深さまで水が来る例もあり、油断は禁物です。また、大都市部や地形の変化に伴い、かつては浸水経験のなかった地域でも冠水する事態が増えています。
特に大雨による都市型水害は短時間で発生し、地下や道路下などに急激に水が溜まることがあるため、電気設備が設置されている屋外や地下空間が被害を受けやすいのが特徴です。したがって、「電気設備が浸水すると、事業活動にどれほどの影響が出るか」 を事前にイメージし、適切な対策を立てておくことが重要となります。
電気設備の浸水対策には、ハザードマップを用いたリスク評価に基づく「想定浸水深より高い場所への移設」、もしくは「防水扉や止水板・架台などの設置」、といった物理的に水の侵入を防ぐ方法が挙げられます。しかし、それでも万が一水没してしまった場合は、排水→清掃→絶縁診断→機器交換→仮復旧 といった手順を踏む必要があるため、完全復旧まで数日から1週間程度かかる恐れがあります。
また、大規模な災害時には修理業者や部品の在庫が不足するリスクも否定できません。BCP(事業継続計画)を策定するうえでは、このような修理が長期化するシナリオをあらかじめ想定し、できる限りのリスク回避策を検討しておくことが大切です。
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。
※2021年3月調査時点