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キュービクル設備に故障が生じると波及事故が起こる可能性があります。波及事故の原因や対策について解説します。
ひとつの筐体で発電所から変電所を通して送られてくる高圧電力を変圧できるキュービクルですが、キュービクルの高圧ケーブルや保護装置などが故障すると波及事故が発生する可能性があります。
波及事故とは、高圧電力を引き込んでいる事業所の電気設備の故障などが原因で電力会社の配電線が停止し、その配電線に接続されている近隣の電気設備にも停電などの影響を及ぼす事故のこと。
自社のみならず周辺の事業所まで広範囲に長時間停電を引き起こしてしまうため、生産や商業活動にも大きな影響が出てしまうことも。場合によっては、多大な損害賠償につながりかねません。また、近隣の信号機や医療機関が停電してしまうと、人命に関わる社会的に大きな影響を及ぼしてしまいます。
波及事故の原因のひとつとして、電気機器のメンテナンス不足などによる保守不備があります。受変電設備は、開閉装置や電気機器が組み合わさってできています。
各部品には耐用年数があり、それぞれに応じた期間で交換しなければ故障やトラブルにつながることも。波及事故を起こさないためにも、定期的な交換やメンテナンスを欠かさず行う必要があります。
雷や台風などの自然災害によって波及事故が発生する場合もあります。自然災害によるトラブルには、雷によって区分開閉器が焼損しショートしたり地震により高圧ケーブルが損傷したりするなどのケースがあります。
自然災害が発生した場合、なるべく早く機器を点検するようにしましょう。受電点に避雷器を取り付けることにより、雷による波及事故を防ぐことが可能です。
工事や火災などによる過失も原因のひとつです。例えば、掘削作業や改築工事中に電力ケーブルを切断・損傷してしまって波及事故が発生したなどの事例があります。
過失による波及事故は周辺設備に影響があるだけでなく、作業員自身も巻き込んだ人身事故にもつながりかねません。電気主任技術者による点検を行ったり事前計画を遵守したりなどの対策をしっかり行うことが重要です。
波及事故は、高圧引込用区分開閉器や高圧受電設備内に小動物などが侵入し、接触して発生することもあります。電気設備には、なるべく小動物が触れたり侵入したりできないような措置をすることが大切です。
目視点検により、区分開閉器の外箱の損傷や発錆、変形、変色、碍子の破損、ひび割れ、汚損などがないか確認しましょう。高圧ケーブルは、ケーブルに損傷や亀裂はないか、端末部分が損傷していないかなどを確認してください。
自然災害によって機器が損傷してしまうと、波及事故となることがあります。特に屋外の区分開閉器は雷害を受ける確率が高いため、確実な保護が必要です。避雷器を取り付け、定期点検の際は接地抵抗値を確認するようにしましょう。
ケーブルの埋設されている場所に標柱や標石を設置ことや、ケーブル埋設上部にはケーブル標識シートを敷設することは、過失対策として有効です。また、掘削工事を行う場合は電気主任技術者と十分な打合せをしてから工事をしましょう。
小動物の侵入する可能性が高い穴やすき間は、シール材やパンチングメタルなどでふさぎましょう。高圧充電部に絶縁バリアや防護カバーを取り付けることは、万が一小動物が侵入した場合に効果的です。
参照元:日本電気協会関西支部|波及事故が発生したときは(https://www.jea-kansai.jp/iinkai/documents/hakyujikoboushianzen2.pdf)
※このサイトで取り上げている電気工事会社の中で、公式サイトでキュービクル工事について説明している神奈川の会社(15社)のうち、コスト削減の方法について掲載していた3社を紹介します。
※2021年3月調査時点